日豊本線とリニア実験線

宮崎県日向市です。写真右手に見えるのが、JR九州の日豊本線です。ちょうど手前から奥にかけて、北から南へとレールが敷かれています。

そして写真左手にある謎の高架。こちらが今回のお話のメインです。ぱっと見高速道路にも見えますが、違います。じゃあ何かと言うと実はこちらも線路なんですが、全長7kmしかありません。

この7kmの線路こそが、通称「宮崎リニア実験線」と呼ばれていたものです。そう、このわずか7kmの高架には、かつて夢の乗り物と言われた、リニアモーターカーが走っていたのです。

今回はこの宮崎リニア実験線を紹介します。

山梨実験線のアニキ分!国鉄時代のリニア実験線

リニア実験線の下

リニア実験線と聞くと、多くの人が思い浮かべるのが山梨の実験線だと思います。実際にニュースでも、山梨の実験線をリニアモーターカーが走る映像が流れていたりしますね。

あの山梨の実験線が誕生したのは1997年のことです。対してこちら宮崎はと言うと、なんと1977年に作られたんだそうです。山梨の20年前ということと、そもそも1977年に、磁力によって高速運行する列車を作ろうという話が具体的に挙がっていたいたことが驚きです。

そして1977年、当時にJRなんて会社はありません。そう、まさに国鉄の時代です。そんな時代から着手された計画が、2027年になってようやく実を結ぶ予定なんですね(東京-名古屋まで。名古屋-大阪は2037年に開通予定とのこと)。

「鶏小屋と豚小屋の間を走っている」と呼ばれた実験線

南北に伸びるリニア実験線

そんなこんなで実験を重ね、無人運転ながら最高速度517km/hを記録(ちなみに新幹線はだいたい300km/h前後で運行)するなど、順風満帆な成果を挙げていたわけですが、技術が進歩するにつれてその役割にも限界が生じてきたそうです。

宮崎リニア実験線本部
現在の実験施設

全長が7kmと短いことと、さらにまっすぐ伸びているため、カーブや勾配のデータが取れないことから、このまま宮崎リニア実験線を継続するのはしんどい、という結論に至り、別の場所に実験線を作る計画が動き始めました。

宮崎リニア実験線の下をバイクで走る
鶏小屋と豚小屋の間をバイクで走る

また、これに際して当時の運輸大臣であり前々々東京都知事の石原慎太郎さんが「(宮崎リニア実験線は)鶏小屋と豚小屋の間を走っている(ので、世界に誇る技術の実験場としてふさわしくない)」と揶揄し、世間からバッシングを浴びたそうです。ま、実際そうなんだけど…あんまりだ(笑)

リニア実験線施設入口

といったわけで1996年に宮崎実験線はその役割を終え、より詳細なデータを取るために1997年に山梨実験線がオープンしたわけです。こちらは現在も日夜実験に使われており、さらには資料館なんかも併設されて連日観光客で賑わっているそうです(資料館自体は宮崎実験線にもあったそうですが、現存していません)。

一方で宮崎実験線の現状がこれ。あまりの悲壮感に、本当にここでリニアモーターカーという夢の乗り物が運行していたのか疑念を抱かざるを得ない…。

宮崎実験センター

国鉄分割後は、鉄道総合技術研究所(JR総研)が引き継いで使用していたそうなので、国鉄を思わせる遺構は特にありませんでした。

リニア車庫

2階のあのゲートの裏に車庫があり、リニアが発進していたんでしょうね…。

裏側へ

ちなみに施設は一部修繕工事のようなものが行われており、また電気も通っていて、未だになんらかの役割を持っているようでした。聞くところによると東北大学と宮崎大学による「エアロトレイン」の研究や、ニコンと東北大学による「空気マグネシウム電池」のなんらかの実験などに使われているようです。

リニア末端

こちらが末端。

リニア実験線に置かれるソーラーパネル

ちなみに実験線の一部は、宮崎ソーラーウェイ株式会社によってソーラーパネルが設置されています。

ソーラーパネルの簡易施設

ソーラーパネルの簡易施設。

宮崎リニア実験線を空撮

また、森を抜けると実はすぐ海でした。2027年を迎えてリニアに乗る機会ができたなら、ぜひ宮崎実験線のことを思い出してあげてください。

この記事の撮影機材
カメラ1:RX100M3
カメラ2:GoPro HERO7 Black
カメラ3:DJI Mavic Air

宮崎リニア実験線の詳細情報

公式サイト:なし
住所:〒889-1111 宮崎県日向市美々津町
電話番号:なし
場所:Googleマップで見る

営業時間:なし
入場料:無料
駐車場:東都農駅周辺などにどうぞ

備考:夕暮れ時に訪れたこともあってか、なんだか寂しい場所でした…。

関連記事:廃線を巡る楽しさ

B級スポットマニア、廃墟マニアなどという芸風で長いことこのブログをやらせて頂いておりますが、中でも自分は「廃線巡り」が結構好きです。元々鉄道好きというのもあるんですが、廃線だとなおさらよし。どうして廃線巡りはあんなにも人をノスタルジックな気分にさせてくれるのでしょうか。

2016年に辿った、岐阜県の美濃赤坂線は私のお気に入りの廃線の1つです。写真もたくさん掲載しているので、廃線好きはぜひ関連記事もご覧ください。